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'23 小笠原自転車旅⑭ 雨中のハートロック弾丸ツアーと感動の父島出港見送り!

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13日目 2023425日(火)☔️23℃ 父島-おがさわら丸

今日は小笠原での滞在最終日だ。夜中に何度か雨音で目が覚める。

早朝に起き、朝食を済ませる。残りの食料は昼食とフェリーで食べるパン3個、そして数個のお菓子。これだけあれば十分だろう。

最終日の午前は 竹ネイチャーアカデミー 主催のハートロック弾丸ツアーに参加する。8時の迎えに合わせ、それまでに部屋から撤収する。

ツアーから戻ったら、フェリー出港まで時間が少ないため、スローパンクしている自転車のタイヤに空気を入れなければ。前輪はガッツリ、後輪も少し空気が抜けている。どちらもパンクは確実。前輪がどれくらい持つか心配だ。昼にもう一度空気を入れ直す必要があるかもしれない。

745分、部屋を出てロビーで待機。管理人さんに鍵を返し、ツアーから戻るまでロビーに荷物を置かせてもらう。ツアー用のナップサックにレインウェア、水1.5L、補給食を詰める。

だが、外は雨。「マジか」。

ハートロックツアー出発:予想外の少人数

8:00 ツアー会社の迎えの車が到着。ガイド兼運転手の男性と、運転席の後ろにツアー参加者の女性Aさんが一人座っている。Aさんには見覚えがある。昨日の南島ツアーにも参加していた方だ。昨日は女性二人連れだと思ったが、勘違いだったか。

挨拶を交わし、最後尾の席に乗り込み出発。

宿を出てすぐのアイランダーハウス?という宿の前でもう一人、女性Bさんが乗り込んでくる。これでツアー参加者全員。「えっ、たった三人?」。

自分以外はソロの若い女性二人。ガイドさんが男性なので変に気を遣うこともないだろう。西表島のツアーではガイドさん含め全員女性だったことを思い出す。

ツアーの出発地点へ向かうが、雨は降り続く。車中、ガイドさんが「昨日まで何をして過ごしたか」など話を振り、参加者同士の会話を促す。

Aさんは、昨日の南島ツアーやホエールウォッチングに行ったことを話す。

次に同じ質問が自分に振られる。前に座っているBさんに先に聞くと思っていたので、少し不意を突かれた。

「トレッキングばっかりやってました。小港海岸からジョンビーチまでとか旭山、中央山とか

するとガイドさんが、「小港海岸からジョンビーチまでのコースは父島で一番キツいトレイルコースで、今日のコースはそれより短いし楽ですよ」と解説してくれた。

Aさんも「小港海岸までバスで行きましたが、案内板を見たらジョンビーチまではかなり凄そうな感じだったのでコースには入らずに帰りました。小港海岸からの帰りは歩こうと思ったけど、トンネルが怖かったのでバスで戻りました」という。

Bさんは小笠原に来てスキューバダイビングをしていたそうだ。海ばかりだったので、そろそろ山もと思い今日のツアーに参加したという。

父島の前に母島に行っていたことを話すと、Bさんも父島の後に母島に行く予定だという。ただ宿を予約していないらしく、父島ほど宿がないので食事付きのところを早くとった方がいいとガイドさんからアドバイス。自分からも商店が3軒しかないことや、食事ができる場所も営業時間がよくわからなかったことを話しておく。

雨中のトレッキングスタート

8:15 小港海岸の手前にある小港園地に到着。東屋の前で車を降りる。

雨は本降り。レインウェアを着る。女性二人はレインウェアの上だけ着用。Bさんはリュックにレインカバーをつける。Aさんは一眼レフカメラを剥き出しで持っていたが、防滴仕様なので大丈夫とのこと。靴が心もとない様子だ。

トイレに行き、準備体操。体操中にガイドさんが、コースは途中から木々に覆われるので雨はそれほど感じなくなると説明してくれる。

8:39 小港園地を出発。道を少し戻り右折。雨脚が強くなってくる。ガイドさんが地元の住民に挨拶し通り過ぎる。自分たちも挨拶する。

8:43 千尋岩(ハートロック)に続く遊歩道の入口に到着。

ここには例の「種子除去装置」がある。ガイドさんが「◯◯さん(自分のこと)はもう知っていると思いますが」と言いながら、使い方を説明してくれる。順番に靴や衣服の種落としをする。Bさんの靴はしっかりしたトレイル用の防水仕様で新しい。聞くと、今回トレイル用に新調したという。

ここにも行き先別に石を入れる筒が設置されている。ガイドさんは緑色?の石を千尋岩へ、ツアー参加者は白い石を千尋岩に入れる。小港海岸の筒には石が一つも入っていなかった話をすると、それなりにウケる。

石を入れる筒

雨が一段と強くなり、ガイドさんが「ちょっと待ちましょう」と言い、木陰で待機する。ガイドさんが事務所に天気を確認すると、予報は11時ごろに雨が弱まるという。宿を出る前にYahoo!天気で確認した予報もそんな感じだった。

船の時間があるため、出発するかどうか決めなければならない瀬戸際だろう。ガイドさんが3人に「今日はやめるか、それとも行くか、どうしたいですか?」と聞く。私はすぐに「行きたいです」と答える。「◯◯さんならそうですよね」とガイドさんに言われる。すっかりトレッキング好きだと思われている。女性2人の意見を聞いてから答えるべきだったとすぐに反省するが、もう遅い。Bさんも行きたいといい、Aさんも「靴はぐちょぐちょになったらサンダルを買う」と言って同意してくれる。「そうなっちゃうよね。最初に言うんじゃなかった」と反省。ガイドさんはAさんに小笠原名物?のギョサンを薦めている。

トレイルを進む:GPS紛失

8:57 トレイルコースの入口を出発。歩く順番は、先頭がガイドさん、Aさん、Bさん、そして最後尾に自分が続く。道はところどころ川のようになっており、緩い登りだ。

9:04 常世ノ滝を通過。

常世ノ滝

小笠原固有種の草木について説明を受けながら進む。パイナップルに似ている沖縄のアダンの木も見られる。

戦時中の壕がある。気味が悪いがガイドさんに言われて自分だけ少し中に入ってみる。   中は真っ暗ですぐに出る。

戦時中の壕

壕から出た後、ガイドさんに「この辺りにも壕や砲台があったんですか?」と聞いてみると、「砲台はなかったようです。夜明山の方が多い」と言う。数日前に夜明山の入口近くにある大きな壕に入ったが、迷いそうだったので引き返したことを話すと、あれはかなり大きい壕で、中は道が入り乱れていてわかりずらいそうだ。ガイド仲間でコースを作ろうと思い壕に入ったそうだが、どこに抜けるのかわからないらしく、外に抜け出てもまた別の道が続いていて複雑とのこと。

夜明山も基本、ガイドなしでは入ってはいけないところらしい。ただ入口に注意書きがないので、一般の人にはわからないという。

このトレイル道は、戦時中は車も通っていたほどの道で、今も石垣が残っている。車の残骸も残っているそうだ。

ガイドさんが出発前に言っていた「途中から木々に覆われて雨はそれほど感じなくなる」地点を通過するが、雨が強すぎて十分雨を感じる。

わらび坂付近①

わらび坂付近②

9:32「わらび谷」の手書きの案内標示を通過。

西海岸との分岐あたりで、ウェストバッグに入れていたGPS(ガーミンetrex30x)がないことに気づく。ズボンのポケットにもない。「しまった!」

時折、現在地や電池を確認するため、バッグから出し入れしていたのでその時に落としたようだ。「落とすかもしれないな」と気をつけていたが、本当に落とすとは

一人ならすぐに探しに戻るが、ツアーなのでそういうわけにはいかない。帰りも同じ道を通るので、その時に見つけようと思う。落としたのは西海岸との分岐の手前(帰りだと少し先)だ。

なくしたことに気づいた少し先でガジュマルの根っこが入り乱れているところを上っていく。ここも覚えておこうと思う。

二つ目の分岐を通過。登っていく。

車輪と車軸だけの車の残骸。戦時中の軍用車らしい。

10:27 立山に到着。ガイドさんが、木の根元にある「衝立山298m」の木製標示板を指して山頂であることを教えてくれる。ガイドさんに言われなければ気づかなかっただろう。

少し開けたところに出ると、コンクリート製の古い建物。これも戦争遺構らしい。そこには、ジョンビーチへのトレイルコースにもあった大きなコンテナボックスが置いてある。これも救急用品や救助用品が入っているのだろう。

立山の戦争遺構

ここから下る。

そして森を抜け、前が開けるが、一面の霧。予想通り、何も見えない。いつの間にか雨は止んでいる。

さらに森を抜けて赤茶けた土を歩く。小笠原の土は赤茶けているところが多い。宮古島みたいだ。

千尋岩(ハートロック)に到着:霧の中の絶景?

10:47 千尋岩(ハートロック)に到着。

目の前には赤茶けた岩の断崖が広がる。しかし、海の方は霧でほとんど見えず、近くの南島も全く見えない。

赤茶けたハートロック

風は強いが、問題なし。何日か前の中山峠ほどではない。

ガイドさんから「石が並べてあるところから外に出ないように」と言われる。意外と地盤が脆いらしい。また、「草を植えているところにも踏みこまないように」とのこと。草を植えているのは、この赤茶けた土が海に流出するのを食い止めるためだそうだ。母島の南崎の海岸も赤茶けた土が海に流出し、海の色が赤茶色になっているところがあったことを思い出す。

今いるところはハートの右側の山あたりとのこと。ここにいてはハート型はわからない。海からでないとハート型は見えない。Bさんが少し残念そうだったので「母島に行くフェリーから見えますよ」と教えてあげると、「そうですか!」と少し喜んでくれた。Aさんからも「いい情報聞きましたね!」と言われる。

風で霧が少し晴れてきて、一瞬だけ南島っぽい島影が見える。

千尋岩(ハートロック)からの眺め

今日は気温が低く、風も強いのでレインウェアを着ていても少し寒い。そんな中、ガイドさんはレインウェアを着ておらず、半袖短パンでずぶ濡れだ。

「寒くないですか?」と聞くと、「大丈夫。寒さには弱いけど耐えられる」とのことだった。

霧がまた少し濃くなり、さっきより一層、島や海が見えにくくなる。

‘HeartRock’ と書いてある木製の標示板が、三角点?のようなところに置いてあり、それをガイドさんが持ってくる。女性陣が標示板を持ったガイドさんの写真を撮っている。ガイドさんは「僕が入っちゃってもいいんですか?」とニコニコしながら嬉しそうに聞いている。

ハートロックの標示板

Bさんが全員で記念撮影したいと言うのでタイマーで撮影。なんとか撮れたようだ。みんなレインウェアを着て、ガイドさんだけずぶ濡れの写真だが

GPSを落としたことをガイドさんに話そうと思ったが、帰りに道が変わってしまうと、女性二人にとっては雨の中せっかく来たツアーが台無しになってしまい申し訳ない。同じコースで帰るとしても、ガイドさんや他のメンバーが周りの景色よりGPSのことに気を取られてしまうかもしれないのでそれも申し訳ない。

ということで、話さないことにして、自分だけで探しながら戻ろうと思う。

帰路でのGPS発見と外来種グリーンアノール

千尋岩(ハートロック)を出発。

立山を過ぎて、何度か倒木を跨ぐところがあり、来た道とは違うことに気づく。「帰りはずっと違う道で行くのかな?」

落とした場所はここからかなり先だと思うが、道が違えば探しようがない。そうなっても仕方がない。もし見つからなかったら、ツアーが終わった後ガイドさんに、明日以降のツアーでもし見つかったら着払いで送ってくれるようお願いしようと思う。ガイドさんは昨日も来ているらしいし、他のツアー会社も通っているので見つかる確率は高いように思う。

そんなことを考えながら歩いているので周りの景色が頭に入ってこない。

11:36 車の残骸がある。これも戦時中の軍用車らしく、日産車とのこと。エンジンと思われる部分に「ニッサン」の刻印がある。

車の残骸(ニッサン

11:46 ガジュマルの木が生い茂る一帯に到着。ここで少し休憩。

出発すると、またも車の残骸。今度はトヨタ車。これにもエンジン部分に「トヨタ」の刻印がある。

車の残骸(トヨタ

どこをどう歩いているのか、往路に通った道に戻ったのかわからない。念のため、足下に落ちていないか注意しながら歩く。

ガイドさんから「元の道に戻りました」との声。すると西海岸との分岐の案内板に出る。「あっ、落としたのはこの先だ。元の道に戻ったのなら、ひょっとしたら見つかるかもしれない」と期待する。

12:30頃、ガイドさんが「こんなところにガーミンが」と呟く声が聞こえてくる。Aさんが「カメラですか?」と聞いている。「あっ、それ僕のです。来る時に落としてしまいまして」。

ガイドさんからGPSを渡されると、紛れもなく自分のetrex30xだった。「よかったよかった」。とにかくガイドさんにお礼をいう。

Aさんが「(GPSを落としたこと)言ってくれればよかったのに」とやっぱり言われてしまう。

「そう思うよね」と思いつつ「それでツアーのコースが変更になったり、楽しみが削がれたりしたら申し訳ないし、今日は誰も通ってなさそうだったので見つかるんじゃないかと思い、自分で探してました」と言い訳する。

電源は切れていたが、電池を入れ替えるとついた。壊れてはいなさそう。防水だし。

ガイドさんがグリーンアノールを捕まえる。グリーンアノールは外来種のトカゲのような生き物。小笠原固有種の昆虫や小動物を食い尽くしたと言われているそうだ。そのため、「これ捕まえたら捕獲のため持っていくのですか?」と聞くと「放します」と言う。一匹ぐらい捕まえてもどうにもならないのだろう。

グリーンアノール

「持ってみますか?」と聞くが、女性陣は少し引き気味なので自分が持ってみる。「さすが」と言われる。どうもアウトドアに慣れていると思われているようだ。グリーンアノールはおとなしい。Bさんも「持ちたい」と言うので渡す。

トレイル道の入口近くまで戻ってくると、崖の上に野やぎの群れが現れる。女性陣は初めて見たそうだ。

野やぎの群れ

入口の手前で野生のパイナップルを発見。パイナップルは大きな木になるのではなく、草のようなものになり、中心にある赤い身の部分がパイナップルになるらしい。知らなかった。

野生のパイナップル

13:07 入口まで戻る。

車に戻るため、道路を歩いていると潰れたカエルでいっぱいだ。

道の先にある敷地内で何か動いた。鶏っぽい。Aさんがあそこにあるカフェに行ったそうだ。美味しかったと。カフェとは思わなかった。

車まで戻る。

13:15 園地を出発。

私とAさんは午後のフェリーで東京に戻る。Bさんは小笠原に残り、次のフェリーで帰る予定。そのため、ガイドさんがBさんに「見送りの船に乗りませんか?」と聞いている。見送りというのは、父島名物の東京へ向けて出港していくフェリーをクルーズ船など何隻もの船が追いかけて見送るというもの。テレビか何かで見たことがあるので、そのことは知っていた。

ガイドさんが所属しているツアー会社のクルーズ船も出るらしく、それに誘っているようだ。「せっかく知り合った方が船で帰られるんですし」と。

Bさんが「乗れるんですか?」と聞くとガイドさんは「港にいって見送りしたいといえば、無料で乗せてくれるよ」と言っている。「最後は海に飛び込むんですよ」。

Bさんも少し乗り気だったが「飛び込むのはちょっと。ちゃんと回収してくれるんですか?」と冗談で聞いている。結局、どうするのか、よくわからなかった。

Aさんがサンダルを買うらしく、お土産屋さんの「なんでも館」の前で降りる。次に自分の宿に向かう。

13:29 宿に到着。Bさんに「楽しんでくださいね。見送りのフェリーで飛び込むこと期待してます」といって別れる。ガイドさんにツアー代は後でハートロックカフェで支払えばいいことを確認して車を降りる。

天気は悪かったが、ガイドさんやAさんもBさんもいい人でいろいろ話ができて楽しかった。

帰り支度

宿のロビーでまだ少し濡れているレインウェアを脱ぐ。下は泥だらけ、靴はかなり濡れている。これが一番問題だ。乾かさないと臭ってくる。

宿のオーナーさんがやってくる。精算をお願いすると、「1泊分でいいよ」と言う。多分、冗談だと思うが最初の2泊は布団がなかったのでそういっているみたいだ。ちゃんと3泊分払う。

靴を乾かすため、古新聞を一部もらう。短時間でどれだけ吸ってくれるか?

オーナーさんが「シャワーに入ってけ入ってけ」という。聞こうと思っていたので、ありがたくシャワーに入って行くことにする。

その前に荷造り。レインウェアとナップサックを広げて乾かす。ペットボトルも1本捨てる。

フェリーの出港まであまり時間がないので、急いでシャワーを浴びに行く。10分ぐらいでさっさと出る。

タイヤに空気を入れる。雨はもう降りそうにないので、レインウェアを着ずにTシャツでいこう。港まではすぐなので、リュックはキャリアにはつけずに背負って行く。

靴から新聞紙を出す。それなりに吸水はしてくれてだいぶ乾いたが、まだ湿気っている。なので靴下は履かないで行く。

14:15 宿を出発。

「ハートロックカフェ」のショップで、ツアー代金の精算をする。

14:30 フェリーターミナルに到着。見送りの人もいるせいか、すごい人だ。乗船券をもらい、外で自転車を折り畳む。

ターミナルからフェリーの方へ移動すると、ここも乗船する人や見送りの人で大混雑。岸壁には太鼓が置いてある。出港の時に叩くのだろうか?ハイビスカスのレイを首にかけた人もいる。

出港前のおがさわら丸

フェリーに乗り込む。荷物置き場に輪行バッグを置いて、寝台席へいく。番号見ると行きと同じような気がする。行ってみると行きの席の隣のボックスだった。しかも今回も左の下側。「また下か」。

帰りは上の段にも人がいるようだ。リュックを置いてさっさとデッキに上がる。父島に来たら、出港風景を見ないと

感動の別れ:小笠原名物「見送り」の体験

6階の右舷に出る。すでに先客でいい場所は埋まっている。少し後ろ側に陣取る。

見送りの人、見送られる人両方からお礼などの声が飛び交っている。

15:00 出港。見送りの人が皆んな岸壁の前まで出てきて、「バイバーイ、また来いよ一、元気でなー」、船からも「いってきまーす」と一際、別れの声がどちらからも飛ぶ。「また来てね」の旗が振られ、太鼓が鳴り始める。そして別れを告げるように「ボーッ」と船の警笛がなり、少しグッとくる。船からはハイビスカスのレイが投げられる。

フェリーが岸から離れると、ツアー会社のクルーズ船なども出港を出て、フェリーを追いかけてくる。何隻いるのだろう?右舷側だけでも10隻近くいる。船の上には何人もの人がいて皆んな、こちらに向かって手を振っている。

しばらく経って、先頭を走るクルーズ船から、数人が海に飛び込む。フェリーの乗客から歓声が上がる。飛び込んだ後も、海からこちらに手を振っている。

人が海に飛び込んだ船はそこで止まる。飛び込んだ人を回収するのだろう。別の船が見送り船団の一番前に出てくる。しばらくして、その船からまた人が海に飛び込む。そんなことを何回は繰り返す。船の一番高いところから海に飛び込む人もいる。そしてだんだんと追いかけてくる船が減ってくる。

ところでBさんはあの中にいたのだろうか?さすがに顔までは見えないのでわからなかった。

そして最後の最後に先頭にたち見送ってくれたのが、海上保安庁のボートだった。

さすがに海に飛び込むことはしなかったが、ボートを反転させるまで手を振ってくれた。あとで思ったが、海上保安庁のボートは追いかける船や人の安全確認のため、最後に見届けただろうと思う。

テレビでは見たことあったが、実際に体験してみるとすごく感動する。さようなら、小笠原。またいつの日か。

外海に出ると、船が揺れ始めてデッキも閉鎖となり船室に戻る。

そこそこな揺れだ。あとは寝るか、少し旅日記を書くか。夜になってレインウェアやナップサックが濡れていることを思い出し、リュックから出して狭い寝台席の壁にかけて干しておく。

夜にもう1回シャワーに入ろうと思ったが、めんどくさくなったので明日の朝、入ることにして寝る。

旅の費用

・フェリー代(父島ー東京):¥29,820
・ツアー代(ハートロック):¥9,500
合計            :¥39,320

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