5日目 2022年5月20日(金)
今日は磐梯山ゴールドラインを通って裏磐梯に行く。今回の自転車旅のハイライトであり、楽しみの一つでもある。そしてこの旅最初の標高1,000m超えツーリングになる。
部屋を出て受付に行くと誰もいない。呼び鈴を鳴らしても誰も来ない。支払いは終わっているので、部屋の鍵を受付に置いて宿を出る。
今日も天気がよろしい。
車庫でリュックをキャリアに載っけていると、前歯の抜けたおじさんに話しかけられる。
おじさん:「おはようございます。どこに行ってたんですか?」
これから出発するところなのに「どこに行ってた?」とはどういう意味?、よくわからんので聞き返す。
自分 :「『どこに行ってた?』って何のことですか?」
おじさん:「3日間泊まってましたよね。その間はどこに行ってたんですか?」
そういうことか。どうやらこのおじさんは宿の人のようだ。でもこれまで見かけた記憶がないんだが…。まぁいいか。
自分 :「大内宿とか猪苗代湖一周 、会津若松市街に行ってましたが…」
おじさん:「猪苗代湖一周は山があって大変でしょう」
自分 :「いやまー、別にそんな大変でもないですよ」
おじさん:「あー、この自転車ならそうなんですね。何段まで切替えられるんですか?」
自分 :「前が2段で後が10段です」
おじさん:「それなら大丈夫なんですね。今日はどこまで行かれるんですか?」
自分 :「裏磐梯まで行きます」
おじさん:「裏磐梯で1泊されて、またどこかに行かれるんですか?」
自分 :「裏磐梯でまた3泊します。あそこも色々と見て周るところがあるので」
おじさん:「あそこには五色沼とかあるので、そうですよね」
自分 :「そろそろ出発しようと思うので。どうもありがとうございました」
8:35 宿を出発。
温泉街のガタガタ道を下りていく。何度も通ったこの道を走るのもこれで最後だ。
県道325号線と合流するところで、ミラーを見ると後ろから自転車が1台下りてくる。どんな人が乗っているのかはよくわからない。県道325号線に出て一気に下ると、後ろの自転車は見えなくなる。
奴郎ヶ前(やろうがまえ)の交差点で、信号に引っかかる。飯盛山方向へ向かおうと思ったが、無駄に上るし、もう2回も通っている道なので、このまま狭い県道325号線へ直進することにする。そして、どこかで右へ曲がって適当に住宅街に入ろうと思う。
するとミラーに見えていた自転車に追いつかれる。自転車がいる方をチラッと見ると、乗っているのはさっき宿の車庫で立ち話ししたおじさんだった。
「追いかけてきた?」
そんなことはないだろう。
おじさんが先に行く。
県道64号線に出て右折。おじさんとはここでお別れ。この道は昨日も通ったが、まぁしょうがない。
北へ走っていると、後ろからママチャリに乗った大学生らしい女の子に抜かれてしまう。方向的に会津大学の学生さんだろうか。それより自分の遅さを痛感してしまう。
国道49号線に出て右折する。歩道が狭い。
しばらく走って再度県道64号線へ右折し磐梯町方向に向かう。勾配が5%ぐらいの上り坂が始まる。この先には七曲山があり、ツーリングマップルに書いてある道路もクネクネ曲がっているので上りは想定通り。交通量はそこそこある。
磐越道を越えると、眼下に景色がちょこちょこ見えたりして思ってた以上に眺めのイイ道。
下り坂に入るが、上りに比べて少ししか下らない。前方に磐梯山が見えてくる。
国道49号線を突っ切り、直進する。そして再び県道64号線へ合流するが、この先に磐越道のインターがあるせいか交通量が多い。そこを過ぎれば交通量は減るだろうと思いながら走る。
インターを過ぎると多少交通量は減るが、それでもまだそこそこある。道も緩く上り始める。
しばらく走ると分岐。左が磐梯市街で、右が喜多方、猪苗代になっている。
「磐梯市街が左?」
てっきり右だと思っていたので、GPSの地図で先を確認する。やっぱり右でいいようだ。
県道7号線に合流して右折。上り勾配が少しキツくなる(3%ぐらい)。
「道の駅 ばんだい」の案内板が見えてきたので、磐梯山ゴールドラインを上る前にここでトイレ休憩しようと思う。
9:52「道の駅 ばんだい」に到着。
トイレに行って戻ってくると、二輪車置き場のすぐ上の軒先にツバメの巣があることに気づく。その近くにはツバメもいる。写真を撮ろうと少し近づくが、ツバメは全然逃げない。ちょっと警戒しているようだ。
10:00 道の駅を出発。
しばらく走ると、案内標識に「⬅︎ゴールドライン」の文字が見えてくる。
磐梯山ゴールドライン
10:10 磐梯山ゴールドラインに突入。
と思ったが、あとで調べるとゴールドラインの入口はもう少し先で、まだ県道64号線に入っただけだった。
県道64号線に入ってもまだ緩い坂で民家もそれなりにあるが、交通量は一気に減る。正面には近くなってきた磐梯山が見えている。しばらくすると5,6%の勾配になって少しキツくなる。
そして集落が切れたところで、「ゴールドライン⬆︎」の案内板が出てくる。多分、この辺りからが「 磐梯山ゴールドライン」と呼ばれている道だろう。いよいよ磐梯山越えだ。
の案内標識もある。磐梯山登山口は多分、ゴールドライン最高地点の八方台のことだと思うので、12kmの上りが続くということだろう。
その後も多少の緩急はあるものの、大体一定の5,6%の勾配が続く。
ウネウネとカーブが続く道を抜けると、ちょっと開ける。星野リゾートへの分岐道を通過。右にはゴルフ場があり、駐車場は車でいっぱい。
ヘアピンカーブを上ると、正面にまた磐梯山がドカンと現れる。
写真を撮っていると、後ろから来た近県ナンバー(どこかは忘れた)のスーパーカブ?が自分の前で止まる。ライダーはカブから降り、後ろの荷物からタブレット端末を出して磐梯山の写真を撮り始める。
自分が止まって写真を撮っていると、後ろや前からから来たバイクも止まって写真を撮り始めるという光景は今まで何度も出くわしている。キレイな景色で写真を撮りたいと感じるところは皆んな同じなんだとつくづく思う。
その後もヘアピンカーブや連続するカーブを上っていく。
前方に人がいる。何だろうと思い、そこまで行くと少し開けていて道の両側にリフトの鉄塔がある。ちょうどこのあたりだけ木がなく、右を見ると下の方に建物があるのでスキー場ではないかと思う。ここにいる人たちはリフトの工事か点検をしているようだ。
右には、霞んでいるが猪苗代湖も見える。
あとで気づいたが、磐梯山ゴールドラインはスキー場のゲレンデの中を通っていて、ゴールドラインは冬季は閉鎖されているようだ。
11:17 山湖台に到着。
ここに来る前にも猪苗代湖はちょこちょこ見えていたので予想はしていたが、ここから見る猪苗代湖もやっぱり霞んでいて景色はイマイチ。
何枚か写真を撮ってすぐに出発。
しばらく上ると、右側に駐車帯が現れる。車が1台止まっていて、女性が写真を撮っている。自分も車から少し離れたところに止まる。ここまでくると磐梯山は山頂付近しか見えない。
そこから少し先にまた駐車帯があるが、何かの案内板もある。
と案内板には書いてあり、写真で場所も示してある。一応、ここは展望台らしい。磐梯山と猪苗代湖はわかるが、滑滝は写真で示されている場所を見ても木々で覆われていて全く何も見えない。ただ音だけは聞こえるので滝がありそうなことはわかる。
展望台から出発しようと、道路の方を見ると自転車が1台上っていく。
乗っているのは男性でクロスバイクのようだ。自分と同じくあまり前傾姿勢ではないが、かなり早いケイデンスで上っていく。荷物が全くないので、地元の人だろう。スピードは自分より少し早いくらいだ。少し先まで見えていたが、だんだん見えなくなる。
しばらく上ると右に「 幻の滝 P」の案内板があるが、ここはパスする。
その案内板から少し先の右カーブにある短い橋を渡る時、水が流れ落ちる大きな音がする。
「ここが幻の滝?」
と思い、左の方もみるが木々が生い茂っていて何も見えない。
「この季節は雪解けで水量が多いので、橋の下を流れる川の音だろう」
と思う。
あとで調べると、この橋から少し上流に「幻の滝」があったらしい。あの音が「幻の滝」の音だったかどうかは定かでない。
その後しばらく走ると、カーブが減ってきて直線路が多くなってなる。
左に駐車場が出てきだす。八方台はもう少しだろう。
そして「八方台P 100m先」の案内標識と共に前方の木々の間から建物が見えてくる。
「あの辺だろう」
12:06 標高1,194mの 八方台に到着。
駐車場には車がたくさん止まっている。ほとんど県外ナンバーだ。磐梯山の山開きはもうちょい後(5月22日)のはずだが、そんなのは関係ないのだろうか。
あとで調べると、西に猫魔ヶ岳もあるのでそっちへ登山している人の車だったのかもしれない。
休憩所の横でさっき抜かれたクロスバイクの男性が休憩している。自分より若く30代後半ぐらいだろうか。
ちょうど昼なので、自分も休憩所でパンを食べようと思う。休憩所の横に自転車を止めてリュックからパンを出そうとするが、周辺に無数の蚊がいてマイる。
さっさとパンを取り出して休憩所の中に逃げ込むが、休憩所と言ってもドアなどなく開放されているので、蚊が中に入ってくる。
休憩所の中で食べるのは諦めて、蚊がいない駐車場の入口付近で食べることにする。
食べながら周辺を眺めていると、森の中にまだ雪が少しだけ残っていることに気づく。
駐車場にはたくさん車が止まっているが、人は数人ほどしか見かけない。登山に来た人は朝早くに来ているはずだから、今はまだ登山中なのだろうと思う。
道路の方はバイクが意外と通る。自分が上っている時はそんなにたくさんは見かけなかったが、時間帯のせいだろうか。
パンを食べ終わると、クロスバイクの男性が出発しようとしている。自分はトイレに行く。
トイレから戻るとクロスバイクの男性の姿は無い。どちらに下りたかはわからない。
12:23 八方台を出発、裏磐梯へ向かう。
一気に下る。途中に「こがね平」、「望湖台」の案内板があるがパス。「望湖台」の駐車場をすぎると「桧原湖」の案内板が出てくるが、湖は全然見えない。
12:38 国道459号線に到着、右折する。
裏磐梯
国道459号線に入っても下りは続き、森の中を走る。
そこを抜けるとリゾートホテルが出てくる。
「 五色沼自然探勝路」の入口にある 裏磐梯物産館の前を通過。明日はここをトレッキングする予定だが、天気が心配だ。
土産物屋や飯屋、宿が立ち並ぶ下り坂を抜けて、さらに東へ走る。
「 裏磐梯噴火記念館」や「磐梯山3Dワールド」を通過。ここも滞在中に行こうと思っているが、今日は行かない。
12:51 裏磐梯剣ヶ峰の交差点に到着。
ここが裏磐梯の中心と言っていいだろう。近くには郵便局やセブンイレブンがある。
予定では県道2号線へ左折して桧原湖を一周するつもりだが、まずはこのまま直進してビジターセンターへ行き、観光パンフレットを仕入れてこようと思う。
交差点を過ぎるとまた下りが始まる。
磐梯吾妻レークラインとの分岐の手前にあるバス停のところでビジターセンターの場所を確認する。分岐の先にあるようだ。
分岐を越えると建物がなくなり、また両側が森になる。
「あれぇ?、ホントにこの先か?」
とちょっと疑う。
が、坂を下りきるとガソリンスタンドや店があるので間違いではなさそう。
その先で「観光案内所➡︎」の案内標識があるので、一瞬「ここ?」と思ったが、駐車場には車が全然止まっていないし、ビジターセンターとは書いてないのでちょっと違うような気がする。
するとその先に「裏磐梯ビジターセンター➡︎」の案内標識が出てきたのでそっちに向かう。観光案内所とビジターセンターが近くにあって紛らわしい。違いは何なんだろう?と思う。
ビジターセンターの前まで行くと、観光バスが止まっていて小学生の団体さんが見える。昨日、会津若松で見た子供たちかとも思ったりするが、それはさすがに違うだろう。
そして右のバス停のところに、ゴールドラインや八方台で会ったクロスバイクの男性がいる。どうやら同じ方向に下りてきたようだ。
12:59「 裏磐梯ビジターセンター」に到着。
入口に五色沼のパンフレット類が置いてあるが、とりあえず中に入る。
裏磐梯周辺の展示はたくさんあるが、パンフレット類は見当たらない。
と思っていたら、カウンターにパンフレットがある。が、100円の文字。さすがにお金を出して手に入れようとは思わない。
入口にしかパンフレットは置いてなさそうなので、戻って見てみる。いろいろ見たが使えそうなのは「五色沼自然探勝路」のパンフレットぐらいなので、それだけもらって外に出る。
外に出て、日焼け止めを塗り直し、一度トイレに行く。
13:16 ビジターセンターを出発。桧原湖一周に向かう。
クロスバイクの男性の姿はもうない。
来た道を戻り、県道2号線へ右折する。「湖は反時計周り」という基本に従って走ることにする。
県道2号線に入って短い橋を越えると上り坂になる。ちょうどこの辺りはペンションが多くあるところで、自分が今日泊まる宿もここにある。
宿の場所を確認しておこうと思う。
県道2号線にはペンションの案内板が出ているが、自分が泊まる宿の案内板は近くまで来ても見つからない。宿の場所は大体把握しているので左の脇道に入る。
すると、すぐに宿は見つかる。
駐車場の奥の方を見ると、木の表面が剥き出しのカヌーが置いてあり、周りに人の姿がある。カヌーを造っている最中のようだ。カヌーがあるので宿はここで間違いないだろう。
桧原湖
県道2号線に復帰、まずは西吾妻スカイバレーとの分岐を目指す。
道の両側には林が続き、ホテルが点在する。
曽原湖へ続く道との分岐を過ぎて少し走ると、ようやく桧原湖が見えだす。
湖を見ながら走っていくと、橋のところで左後方に磐梯山も見えてくる。さらにその先では対岸に大きな橋も見える。位置的に桧原大橋だろう。
湖、特に湖岸近くにボートをよく見かける。バス釣りでもしているのだろうか?
その後も県道2号線からは木々の間から湖が見える。
前方に民家が見えてきて、早稲沢の集落に入る。
14:03 西吾妻スカイバレーとの分岐に到着。
スカイバレーは裏磐梯から山形に抜ける時に走る予定でいるが、今日は左折して県道64号線に入る。
次は「会津米沢街道桧原歴史館」を目標に走る。
しばらく森の中を走るが、再び湖岸沿いの道になる。
ちょうどその辺りを走っていると、前方にうごめくモノが何個か見える。
「なんだ?」
よくみると、猿だ。
前方の道路上に何匹かいるが、自分のことに気づくと慌てて右の斜面の茂みに逃げていく。そこに近づくと、猿はあまり遠くへ逃げておらず、草木の間や電柱のところでこちらを伺っている。遠目からその様子の写真を撮っておく。
小さな集落を抜けると、磐梯山の山頂だけがヒョッコリ見えてくる。
14:16「 会津米沢街道桧原歴史館」に到着。
歴史館は道路より少し高いところにあり、木造平屋の立派な建物。歴史館の前の湖岸には船着場があって、そこで釣りを楽しんでいる3人組(男2女1)がいる。
自転車を置いて階段を上がるが、入口に入館料などは書いていない。奥の窓から中で何か食べている人が見える。ツーリングマップルによれば、館内にはラーメン屋があるらしい。なんとなく「歴史館」というより、「ラーメン屋」がメインのような感じがする。
ラーメンを食べずに歴史館だけ見たいのだが、それではちょっと入りづらい感じがする。そう思うとちょっと面倒くさくなり、中に入るのをやめる。
歴史館の前から景色を眺めて写真を撮るだけにしておく。下に降りて湖岸から湖を眺めたりして少し休憩する。
そろそろ出発しようとするが、水を入れたペットボトルがないことに気づく。すぐに歴史館の前にあったベンチに置いたことに気づき、取りに戻る。
14:32「会津米沢街道桧原歴史館」を出発。
次は「大山祇神社」に向かう。神社は地図を見た限り歴史館からそう離れていない。
そろそろこの辺りかと思ったが、それらしい神社も案内板もない。
自転車を止めて、GoogleMapで現在地と神社の場所を確かめる。少し通り過ぎているので、GoogleMapで示されているところまで戻る。
すると、右の下のほうに何か建物が見える。その近くまで行くと下の湖岸の方に建物があり、急な斜面に歩いて下りていけそうな道もついている。もう一度GoogleMapを見ると、現在地と神社の場所がほぼ重なっているで間違いないだろう。
自転車を歩道のガードレールに立てかけて、建物の方へ下りていく。一応、階段状にはなっているが、ステップの木が壊れていて急な下り坂になっているところがある。
その部分は特に滑りやすいので気をつけて下りていたが、途中で「ズリッ」と滑り、一瞬にして腰から地面に落ちてしまう。周りに全く人気はないが、コケたことがちょっと恥ずかしくてすぐに立ち上がる。
左手を少し軽くひねったぐらいで怪我はないし、大した痛みも無い。斜面で少し屈んで歩いていたので、大きなダメージにはならなかったのかもしれない。コケたのは雪道を酔っ払って帰った学生時代以来だろうと思う。
14:40「 大山祇神社」に到着。
小さな神社で、磐梯山の噴火で埋まったという鳥居が湖の中にある。
噴火で埋まった鳥居は桜島で見たことがあるし、伊豆大島にもあるらしい。湖の中にある鳥居は琵琶湖の白髭神社で見たことがある。ここはそれらとはまたちょっと違ういきさつがありそうだ。
コケた坂を慎重に上り、自転車まで戻る。ズボンが土で汚れていたので埃を払う。念のため上のシャツも払っておく。
そこから少し走ったところの「湖望の湯」がある集落で、住人と思われる人が歩いている姿を久しぶりに見かける。ここまで見かけた人は釣り人ばっかりで、あとは桧原歴史館のラーメン屋から出てきた人ぐらいだった。
湖が見えなくなり、しばらく坂を上っていくとトンネルが見えてくる。あれが「桧原トンネル」だろう。事前にツーリングマップルで確認していて、長さが1km近くありそうなことも把握している。
トンネル内に自転車が走れる歩道はないが、交通量が少ないので問題ないだろう。と思ったが、入口の手前に「⬅︎歩行者 自転車」の案内板がある。トンネルを通っても面白いことはないので、案内板に従い迂回する道に入ることにする。
ところが、迂回路を少し進むと路上には落ち葉や小枝、折れた木が散乱し、さらには斜面から崩れてきたのか土でドロドロになっているところもある。自転車では通り抜けられないところもあり、途中で下りて押す羽目になる。
こんな道なら交通量の少ないトンネルを通ったほうが全然よかった。
熊が出そうな迂回路を進み、なんとか県道64号線に復帰する。
次の短い「野鳥の森トンネル」にも迂回路があるが、今度は無視してトンネルを突っ切る。
トンネルに入る前に迂回路をチラッと見るとやはり落ち葉がいっぱい積もっている。桧原トンネルの迂回路とあまり変わりなさそうだ。
「野鳥の森トンネル」を抜けると桧原大橋に出る。そして正面に磐梯山が見えだす。桧原大橋は大きめの橋だが、走っていてもあまりそんな感じはしない。
「川曽根山トンネル」を抜けて右にカーブする。ツーリングマップルには確かこの辺に展望所のようなところが書いてあったはず。すると「磐梯山と桧原湖」が描いてある案内標識が出てくる。が、ここからそんなイイ景色は見えない。
ツーリングマップルを見直すと「磐梯山を一望」と書いてある場所はもうちょい先のような感じがするのでもう少し進んでみる。
すると磐梯山が見えてきたので写真を撮ろうと止まる。そして少し先の左側に駐車スペースがあるのと「磐梯山展望箇所」と書いてある案内板があるのに気づく。
一瞬、「あそこだ」と思ったが、磐梯山は今いるところからギリギリ見えているので、あそこまで行っちゃうと木々の影でどう見ても磐梯山は見えない気がする。あそこが展望箇所というのはちょっと変な気がしてくる。
「おかしいなぁ」と思っていたら、足跡マークが駐車場の方からこっちへ向かって歩道にずっと付いていることに気づく。
足跡マークを目で辿ると、磐梯山が見える今いるところの目の前まで続き、そこでなくなっている。
「そういうことか」
この足跡マークは駐車場から磐梯山がよく見えるビューポイントまで案内するために付けられているようだ。なので「磐梯山展望箇所」とはここら辺のことのようだ。
裏磐梯からみる磐梯山の形は表磐梯とは全然違う。裏磐梯から見ると真ん中が崩れて山頂が二つあるような感じになっている。北海道でいうと駒ヶ岳と似たような形だ。
駒ヶ岳も噴火で麓に大沼と小沼ができ、磐梯山も噴火で周辺に湖沼ができたので、二つの火山はそういうところも似ているように思う。
15:19 磐梯山展望箇所を出発。
この先はもう特に見所はないので、戻るだけになるだろう。
しばらく走ると「道の駅 裏磐梯2km⬆︎」の案内標識が出るが、特に寄る用事もない。
15:31 国道459号線に合流。
少し走ると緩い上り坂が始り、そのあと勾配が5%ぐらいの少しキツい坂になる。周りは森に囲まれていて眺望もないので、淡々と上るだけになる。
16:00 磐梯山ゴールドラインの分岐を通過。
これで桧原湖を一周したことになる。桧原湖の周回コースは最後の方に5%ぐらいの上りが少しあったが、他は大きなアップダウンがほとんどなかった。
16:05 裏磐梯物産館前に到着。
時間があるので「 五色沼自然探勝路」の入口の方に行ってみる。駐車場から左の方に行くと入口はすぐに見つかる。入口からも木々の隙間から湖が少し見えている。
「五色沼自然探勝路」は往復すると8kmあるので普通に歩くと2時間ちょっと位はかかるだろう。今は16時を過ぎているので、頑張って急いで歩ければ日没までに周れるかもしれない。が、この時間は人もあまりいないだろうし、熊も活動的になる時間なので流石にそれはしない。明日以降にゆっくり周ろうと思う。天気がかなり怪しいが…。
国道459号線に戻り、宿の方へ向かう。
「宿に向かうにはまだだいぶ(日没まで)時間があるなぁー」
と思いながら、坂を下っていると、左に駐車場とその先に桧原湖が見える。
「ここはなんだ?」
と思いそっちへ行ってみると、遊覧船やボートの乗り場だった。もう夕方なので人はほとんどいない。桧原湖の写真だけ撮って退散する。
再び国道459号線に戻る。
「 磐梯山噴火記念館」では、入口の前まで行って開館していることを確かめる。今日は入るつもりはないが、明日以降で天気が悪い日に見学しようと思っている。
16:23 裏磐梯剣ヶ峰の交差点に到着。
交差点の北東側にある建物は何だろうと思い見にいく。が、単なる役場の出張所のようなところだった。
県道2号線に入る。まだ時間があるので、途中で右手にある小野川湖よりの道に入って曽原湖に抜けてみようと思う。
この道周辺は県道2号線よりペンションなどの宿や民家が多くあり、道沿いにずっと続いている。ちょっと予想外だった。
そして曽原湖のほとりまでやってくる。
キャンプ場のようなところがあるのでそこに入って湖の写真でも撮っておこうと思ったが、「私有地に付き無断立入禁止」の立て札あるので入るのをやめる。その先で湖沿いの道になったのでそこから曽原湖の写真を撮る。
県道2号線に復帰。
16:47「 裏磐梯サイトステーション」に立ち寄る。
ここら辺にも探勝路があったはず。
案内板を見ると「 中瀬沼探勝路」と「 レンゲ沼探勝路」、そして県道2号線を挟んだ休暇村の方には「休暇村探勝路」があるらしい。「休暇村探勝路」は離れているし、「中瀬沼探勝路」は距離が長いので、今から行くなら「レンゲ沼探勝路」だろうと思う。
ただ、もう日が暮れそうな時間でここも熊が出そうな雰囲気になってきている。どうしようか迷っていたら、男性が一人、裏磐梯サイトステーションの方からレンゲ沼の方へ歩いていく。それを見て自分も行ってみようと思う。
男性はレンゲ沼の前で写真を撮っているだけでそこから先には行かない。自分は男性を追い抜く。ここまで来たんだからレンゲ沼を一周しようと思う。熊除けの鈴を鳴らしながら歩く。後ろを振り向いてもさっきの男性が歩いてくる姿はない。
熊が出そうな雰囲気がプンプンするので、途中からとっとと周ろうと急足で歩く。「こんなんで『レンゲ沼探勝路』を歩く意味があんのか?」と自分でも思ったりするので、立ち止まって何枚か写真だけは撮っておく。
無事に全長700mの「レンゲ沼探勝路」を周りきる。
17:03「裏磐梯サイトステーション」を出発。
もう行くところがないので、宿に向かおうと思う。
その前にセブンイレブンで買い物をして行こうと思ったが、先に宿にチェックインして県民割のクーポンを貰わないといけないことを思い出す。
宿のある道を通り過ぎ、ちょっと行き過ぎてしまう。
工房とお宿 クレインズ
17:11 宿に到着。今日のお宿は「工房とお宿 クレインズ」。カヌー工房もある。
まだカヌーのところで何か作業をしているのでそちらに行き、声をかける。
自分 :「宿を予約しているものですが」
宿の方:「あっ、はい」
自分 :「自転車があるんですが、どこに止めていいですか?」
宿の方:「入口の横で良いですよ。雨も降りそうもないですし」
「えっ、明日の天気予報は雨だが…」と思い、
自分 :「天気予報は明日は雨と言ってますが…」
宿の方:「そうですか。屋根のある入口の内側でもいいですよ」
自分 :「ありがとうございます」
そこに自転車を止めて荷物を下ろす。
宿の中に入ると検温器があるので検温する。25℃ぐらいしか示さないのでちょっと変。何回かやっていると36℃ぐらいを示すようになる。手をアルコールで消毒して宿帳に名前を書く。
県民割を適用してクーポンを発行してもらおうとしたが、ここからなかなか時間がかかる。クーポンの発行手続きができないのだ。そもそも宿のご主人が “ STAYNAVI” にログインしようとしてもパスワードが間違っていて入れないでいる。メモなどを見て何度もログインを試みている。
最初はiPhoneでやっていたが、うまくいかないので今度はパソコンを開いたりして四苦八苦している。予約時に発行された自分のQRコードを読み取ったりもするが、これもうまくいかないようだ。
結局、30分ぐらいかかってようやくクーポン発行の手続きができた。宿のご主人によると県民割を使って泊まる人は全然いないらしいく、「そこの山形の人だけ」と言う。が、誰のことだか全然わからない。後で考えるとカヌーのところで作業をしていたもう1人の人だろうと思う。
県民割後の宿代はクレジットカードで支払う。宿の決済はエアペイだった。CMではお馴染みだが見るのは初めてだ。
ようやくクーポンを受け取り、支払いを終えて部屋に行く。部屋は2階に上がった最初のところにあるツインルーム。部屋に入ると大きな椅子とテーブルがある。これはワーキングスペースだろうか。トイレとお風呂、洗面台などは共同。
荷物を降ろしてクーポンを持って買い物に出かける。一旦外に出るが、カバンを忘れたので取りに戻る。
17:55 宿を出発する
宿のご主人はカヌーの作業に戻っている。
飯屋で晩飯を食おうかとも思ったが、真っ暗になる前に宿に戻りたいのでセブンイレブンで弁当類を買うことにする。もちろんクーポンを使う。
18:19 宿に戻る。
風呂に行く。風呂は離れにあり、貸し切りだ。なかなか広くていい感じ。
部屋に戻り、洗濯をする。
洗面所にいる時、別の部屋から1人出てくる。宿のご主人によると今日泊まるのは3人と聞いていたので、そのうちの1人のようだ。
部屋に戻り、晩飯を食う。
明日は午後から雨の予報だが、午前中は晴れるようだ。なので早めに出発して午前中に「五色沼自然探勝路」をゆっくり周ろうと思う。
眠くなって、今日あった事をメモらずに寝てしまう。
=== 旅の費用 =======================
宿泊費(工房とお宿クレインズ):¥2,500(県民割2,500円適用)
飲食代 :¥158(県民割クーポン1,500円使用)
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合計 :¥2,658
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