'20 ぐるっと日高山脈一周キャンプ旅③ 赤平〜かなやま湖

2日目 2020年8月21日(金)       -

5時頃に起床して、まずは昨日できなかった洗濯をする。すぐ隣に炊事小屋があり、その中でできるのだが、洗濯なので外にある炊事場を使う。

そのあと、 キャンプ場の中を散歩しながら、他にテントサイトがないか探してみる。

キャンプ場の管理棟と「日帰り温泉ゆったり」の間には高低差があり、段になっているのだが、管理棟の上の段は駐車場しかない。その上の段に芝生と東屋があるので、ここにテントが張れそうだが、トイレや炊事場が遠い。やはり、今テントを張っている管理棟や炊事小屋の近くが一番よさそうだ。

日帰り温泉ゆったり」まで上がると、屋根の上はカラスまみれ。そのあとキャンプ場の奥の方に行ってみると、いくつかバンガローがある。

林の中を通ってテントの方に戻る。朝ということもあり、キャンプ場の中もカラスが多い。ここは公園にもなっていて、人工の水路や滝、彫刻などもある。

赤平の麓の方は少しガスがかかっている。

朝のエルム高原家族旅行村
朝のエルム高原家族旅行村

テントに戻り、撤収にかかるが、テントが雨なのか朝露なのか霧なのか、やはり濡れているので乾かす。芝生も濡れているので、横の砂利場で乾かしたり畳んだりする。

先客の2人も撤収に取り掛かっているが、コーヒーを飲みながら、のんびりやっているようだ。

最後は、BBQハウスの横で荷造りして、自転車に積み込む。ゴミも持っていく。というのも、ここはゴミ捨てが有料なので、昨日の受付でそれを断っていたからだ。

8:40頃、キャンプ場の管理人さんらしき人が管理小屋へやってくる。9時から受付開始らしい。

8:49 キャンプ場出発。まずは国道に下りたところにあるローソンに向かう。そこで昼飯用のパンを買うついでゴミを捨てるつもり。というより、ゴミを捨てたいので買い物するというのが本音だが、昨日ここで買った物から出たゴミなので、ここに捨てるのがいいだろう。

ところが、そのローソンには缶やペットボトルを捨てるゴミ箱はあるものの、燃えるゴミのゴミ箱がない。仕方がないので、パンを買い、ペットボトルだけ捨てる。

赤平

国道38号線には進まず、道道247号線で赤平の街に下りる。というのも、赤平に来るのは初めてなので、どんな街か見てみたかったことと、あとはゴミ捨てとチェーンオイルを買うためだ。

出発前にチェーンに注油したにもかかわらず、昨日の雨でチェーンからシャリシャリ音がしている。が、オイルは持ってきていない。GoogleMapで調べると、赤平の街に100円ショップあるので、売っていれば買おうと思う。

下り坂をおり、空知川を渡って赤平の街に入る。

赤平は、もともと炭鉱の街。赤平に限らず、空知は炭鉱で栄えたところが多く、閉山してもう30年ぐらいは経っているので、どこも寂れ方が酷い。赤平も最盛期は6万人以上だった人口が、今は1万人をきっているそうだ。

赤平の街に入ると、背が低くくて古い、いかにも昭和時代の建物と思わせる街並みになる。昔は商店街で賑わっていたのだろうと想像できる。

そんな街並みの中、突如右手に新しくて立派なレンガ風の建物がドカンと現れる。これが赤平駅が入っている建物だろうとすぐにわかる。

正直言って、周りの街並みに比較して、場違いなほど立派な建物なので、「何これ?」と奇妙な印象しかわかない。

とりあえず、ここでトイレ休憩することにする。

9:20 赤平駅に到着。建物入口には「JR赤平駅」と書いてはあるが、その上に駅名よりはるかにデカい文字で「交流センターみらい」という役所の施設らしい名前も掲げられている。

田舎の街で場違いな程の立派な建物は、お役所関連と相場は決まっているが、ここも御多分に漏れずといったところ。駅はやはり間借り扱いされているという感じだ。

トイレを済ませ、ゴミ箱を探してみるが、ここにはない。

赤平駅が入る交流センターみらい
赤平駅が入る交流センターみらい

赤平駅を出発。100円ショップがあるコープへ向かう。

赤平といえば、ミスターこと鈴井貴之氏の家があって、昨年末から今年始めの「水曜どうでしょう」の放送で舞台となったところ。あの時に出てきた中華屋さんと寿司屋さんはこの辺にあるのかもしれない。なんてことを思うが、店の名前がわからないので、コープに直行する。

9:28 コープに到着。その隣にダイソーがある。まずコープにパンを買いに行く。というより、スーパーには大体ゴミ箱があるので、ここもゴミ捨てが主目的だ。パンはローソンで1個しか買っていないので、ついでに買っておくといったところ。

半額に割り引かれた「十勝金時マーガリンパン」を選んでレジに並ぼうとすると、レジ前にソーシャルディスタンスの表示にならって、間隔をとって並んでいるおばちゃんの前に、それを無視して距離など気にせず横入りするおばちゃんが2人いる。

多分、並んでいることに気づかなかったのだろうと思うが、横入りされたおばちゃんは何も言えないようで、そのままでいる。

自分はそのおばちゃんの後ろに並びレジを済ませる。買った物を袋詰めするテーブルの下にゴミ箱があるので、ここにゴミを捨てる。スーパーには大体ここにゴミ箱がある。

店を出て自転車に乗り、出発しようとする。すぐにダイソーに行くことを忘れていることに気づき、ダイソーの前に戻る。

店に入るが、チェーンオイルは売っておらず。

店を出発。駐車場から出たところで、GPSの電池が切れたので交換していると、後ろからおばちゃんの声がかかる。

おばちゃん:「道内からですか?」

顔を上げながら、

自分   :「はい」

すると後ろからおばちゃんが歩いてきて、

おばちゃん:「ごくろうさまです」

「ごくろうさま??」と予想外の言葉に少し動揺してしまい、返す言葉が浮かんで来ない。やむなくペコリと頭を下げておく。

そのおばちゃんはさっきレジで横入りされた方だった。自転車に荷物を積んでいるので、旅行者と思って声をかけてきたのだろう。

道道114号線に入り少し走ると、左手に大きな広場となんだかよくわからないモニュメント?が見える。一旦通り過ぎるが、何か気になるのでモニュメントの方に行ってみる。が、何なのかはよくわからない。土地柄、炭鉱関連のものだろうか。

ここの広場は後で調べるとコミュニティ広場というところだったらしい。

後ろに見える山はズリ山だろうか。そういえば、赤平駅近くに、頂上が展望台になっていて、そこまで何百段かの階段で登れるズリ山があることをテレビで見たことがある。あのへんの山がそれだろうか。

あとで調べると、テレビでみたズリ山は赤平駅の裏にあるようで、方向が正反対で全然違っていた。

このまま道道114号線を進み、国道38号線に復帰するつもりだが、ローソンのあった国道から赤平の街にだいぶ下りたので、その分、国道に復帰するまでに上らされるだろうと思いながら走る。

9:57 道道114号線と道道224号線の分岐に到着。道道114号線は右に曲がり歌志内方向へ向かうが、自分はそのまま直進して道道224号線に入り、芦別へ向かう。

ここから国道38号線の合流点までは2015年夏に逆向きに通ったところで、あの時は、歌志内方向に暗い雲が出ていたので、この分岐で赤平方向に進むか少し迷った。なんとなくJRの高架に見覚えがある。

その後、道道224号線を1kmほど走るが、こちらは全然見覚えのあるところがない。あの時と逆向きに進んでいるせいかもしれない。

10:01 国道38号線に復帰。結局、赤平市街からあまり上ることはなかった。赤平付近の国道38号線だけ、赤平の街をバイパスさせるために高いところを走っているのだろう。それに、道道114号線や道道224号線は国道38号線の旧道のようにも思える。

10:11 平岸の街に入る。新光団地というバス停のあたりで線路の向こうに炭住っぽい古い住居が見える。「まだ残っているんだぁ」とシミジミ思う。

そして、「ひらぎしマート」、結構大きな「平岸病院」、そして妖しいピンク色に染まっている「コミュニティセンター」など、たぶん炭鉱で栄えていた頃からあるのだろうと想像する店や施設がある。コミュニティセンターは、名前も建物の色も昔は違ったと思うが、なぜ今、ピンク色なのか…。

芦別

10:29 芦別の街に入る。

案内標識に国道452号線の分岐が出てくる。国道452号線は桂沢湖や夕張に抜ける道で、通ったことはないが、ツーリングマップルに「民家GS皆無の道 携帯電話不通区間 熊・鹿の出没注意」と書いてあるので、前からどんな道かかなり気になっている。が、怖くて、まだ走る勇気が出ていない。

10:37 道の駅 スタープラザ芦別に到着。トイレ休憩する。
空知川の対岸に五重の塔とバカでかい観音像が見える。昔は「芦別レジャーランド」とか「北の京・芦別」とか言っていたところだが、今はどうなっているのかよくわからない。

五重の塔と観音像
五重の塔と観音像

確かあそこには2回来たことがあると記憶している。もっと山間というか、街から離れたところにあったという記憶だったが、意外と街に近いところにある。

2度目は「北の京・芦別」時代に、車で来たと思うが、1度目の「芦別レジャーランド」時代は確か小学生の頃で、車がなかった頃だ。どうやって来たんだろうか。国鉄しか手がないが、そのへんは全然覚えていない。

10:46 道の駅を出発。

JR根室線跨線橋を過ぎて、上り坂を上りきったところにある上芦別小学校前の交差点で、左に入れそうな道がある。

一旦そのまま国道38号線を進むが、あの道で国道を迂回できないか気になるので、GPSで調べる。すると、その道は上芦別の街中を通り、その後は国道38号線に合流している。

それならば、その道に迂回しようと交差点に戻り、その道に入る。踏切を渡り、最初の交差点を右折する。住宅街が続き、道路は片側1車線あるが、交通量は皆無。

11:06 上芦別駅に到着。今年で開業100周年らしい。

芦別駅のある根室本線は、石勝線ができるまで、札幌と帯広や釧路、根室など道東を結ぶ最短の路線で、特急が何本も走る重要な幹線だったが、今は完全なローカル線。

でも駐輪場には自転車が多く止まっているので通学にはよく利用されているみたいだ。写真を撮ってすぐに出発。

上芦別駅
芦別

道道567号線を南東へ進み、国道38号線に復帰する手前の交差点で「上芦別公園」と書いてある丸太の案内板がある。上芦別公園はキャンプ場があるところなので、名前は知っている。

この先にキャンプ場があるらしいが、想像していた通り、かなり辺鄙なところにあり、ヒグマが出そうで怖そうだ。

11:13 国道38号線に復帰する。交通量が随分減っているが、この先富良野まで、しばらく街がないためだろう。

畑が続く田園地帯を走っていると、右に広いグラウンドと校舎、体育館のような建物が見える。ここは野花南小学校で、すでに閉校しているようだ。

まだ立派な校舎と体育館、グラウンドが残っていて、こういうのを見るとなんだかちょっと虚しくなる。

あとで調べると、野花南小学校は116年もの歴史があったが、残念ながら6年前に閉校したようだ。

野花南小を過ぎると、案内標識が現れ、道道70号線へ左折すると美瑛になっている。この道は確か開通していないか、ダート道だと思っていたので、この標識をみて「ついにできたか!」と少し喜ぶ。

が、左折したところにある案内標識には「この先 未改良砂利道あり」と書いてあり、「なんだ、やっぱり…」と喜んだ分、結構落胆する。今更、車が通りそうもない山道に、これ以上お金はかけないだろう。

野花南大橋を過ぎたあたりで、かなり後方から、

「ヴェ〜〜〜ンッ、ヴェ〜〜〜ンッ」

と高音気味の爆音が聞こえてくる。

「おっ、イカれたバイクがくる」

と、路肩によってミラーを見ながら身構える。

しばらくして、轟音とともに1台のバイクがすっ飛ばしていく。100km/h以上は軽く出ている。

「バランス崩したら、確実にあの世だな」

11:37 野花南トンネルに突入。ここのトンネルは、事前調査(といってもGoogleMapのストリートビューなんだが…)で進行方向右側に歩道があることがわかっているので、トンネルの少し手前で右側の歩道に渡っておく。

トンネルを抜けると、右手に滝里湖が見えてくる。次の奔茂尻トンネルも右側に歩道がある。

奔茂尻トンネルを抜けると、湖の手前に「滝里湖オートキャンプ場」が現れる。キャンプ場は広く、かなり設備が整っているようにも見えるが、テントや人影は見えない。なかなかいいキャンプ場に見えるが、近くに店や入浴施設がないのがネックだ。

滝里湖とキャンプ場
滝里湖とキャンプ場

トンネルから出ても右側の歩道を走り続けていると、国道から右側のキャンプ場に下りる道がないことに気づく。

「右側にないのなら、左側(山側)から下りて、国道の下をくぐって入るのか?」

と思いながら走っていると、思った通り、その先に国道の下をくぐる道があるので、山側から下りて入るようだ。

その後も、滝里湖側の景色がいいので、写真を撮ったりしながら、しばらく右側の歩道を走る。

12:14 空知川にかかる滝里大橋を渡る。橋を渡っていると、橋の下にゴルフ場があり、プレーしている人もみえる。

空知川
空知川

「おっ、こんなところにゴルフ場。ここまでボール飛ばすなよ」

と思いつつ、相当なヘタクソの飛ばし屋でない限り、さすがにここまでゴルフボールは飛んでこないだろう。こんな橋のすぐ下にあるコースを見るのは初めてだ。

その後も、立て続けに空知川を2度渡り、滝里湖からの短い区間で3度も空知川を渡る。

12:32 右から道道135号線が合流する。道道135号線へ右折すると1km先に「ハイランドふらの」というラベンダー畑があるが、もうとっくに枯れている時期なので行くことはない。

道道135号線が合流すると、交通量が少し増えそうな感じがするので、交差点を通過するときに道道135号線のほうをみると、やはり数台、信号待ちしている車がいる。というのも、この道道135号線は、札幌から富良野への最短の一般道だからだ。

交差点を過ぎると、予想通り、交通量が少し増える。

富良野

山間を抜けてだんだん開けてきたので、富良野に入ってきたことを実感してくる。

しばらく走ると、高速道路のインターチェンジのような高架橋を通過する。持っているツーリングマップル2017年版にインターチェンジのようなものは載っていないが、事前にGoogleMapでこの周辺を見たとき、国道38号線のバイパス道のようなものができていることを知ったので、多分その入口だろうと思う。

すると、そのバイパス道の「北の峰」入口に差し掛かる。が、そこの案内標識には「旭川十勝道路」と書かれている。どうやら新しくできた道路は、国道38号線のバイパス道ではなく、自動車専用道路のようだ。

旭川方面は未開通で、南はどこまで開通しているかわからないが、「十勝」となっているので、道東道まで延ばすつもりなのだろう。「よく造るなぁ」と呆れ半分で、感心する。

「北の峰」入口を過ぎると、少し増えていた交通量がまた空いてくる。「旭川十勝自動車道」が通行無料なので、そちらに流れているようだ。

富良野市街が見えてくる。富良野に来るのは、2015年夏の自転車旅以来になる。

12:48 道道800号線との交差の手前にあるセイコーマートに到着。ここで、この後のルートを考える。

富良野の街に行って、昼飯やチェーンオイルの買い物をするか、富良野市街をショートカットして朝日ヶ丘公園の横をとおり道道985号線に抜けるかだ。旅前の予定は後者だったが、富良野の街に寄り、買い物をすることにする。

さて、ここまで国道38号線を、赤平郊外から富良野まで走ってきたが、国道にしては交通量が少なく、また十分な幅の路肩がずっとあり、アップダウンも少なかった。田園地帯や滝里湖などもあり、周辺の景色もまずまずよく、思っていた以上に快適に走ることができた。

道道800号線との交差点に差し掛かると、2015年夏の自転車旅でワインハウスから朝日ケ丘公園へ行く時に通ったことを思い出す。道道800号線のほうをみると少し上り坂になっていて、確かにあの坂を上ったなぁと思う。

その後の新空知橋も2015年夏に通ったところ。その橋の上から左前方に、十勝岳連峰が見えることに気づく。街中ではあるが写真を撮ろうと思い、自転車を止めてよくみてみると、少し雲がかかっているが、主峰の十勝岳も見えている。写真を撮っておく。

富良野市街からみえる十勝岳連峰
富良野市街からみえる十勝岳連峰

新空知橋を渡り、交差点を通る。2015年夏はワインハウスから住宅街を通り、この交差点で国道38号線に出たことを思い出す。

そう思っていると、前方にホーマックの看板が見える。チェーンオイルを買うため、寄ることにする。

が、チェーンオイル自体は売っているが、少量のものがないので、買わずに店を出る。

次にコープに向かう。富良野のコープにもダイソーが併設されているようだ。

その途中、2015年夏に訪れた北海道中心標がある富良野小、フラノマルシェなど懐かしい店や街並みを通る。

13:11 コープに到着。ここのコープも2015年夏に買い物に訪れたところで、この近くの宿に泊まった。

まずダイソーに行ってみるが、チェーンオイルは売っていない。赤平のダイソーにもなかったので想定済。もうチェーンがシャリシャリ言わなくなっているので、オイルを差さなくてもいいかなと思うようになる。

コープで明日の朝飯用に、またまた半額割引のパンを今度は2個も買い、リュックの中にしまっておく。代わりに朝に買った割引なしのパンを取り出して、駐車場で昼飯とする。

13:29 コープを出発。富良野高校横の空知川沿いの道を通って、道道985号線に出ようとするが、橋の渡り口まで少し戻ることになる。

ふらの五条大橋からも辛うじて十勝岳が見えるが、 これ以上南に進むと山かげで見えなくなりそうで、見るのはこれで最後になりそうだ。

ふらの五条大橋からみる十勝岳連峰
ふらの五条大橋からみる十勝岳連峰

富良野ICを越えて、道道985号線から離れ、自動車道と並行したカントリーロードを走る。路肩は狭いが、交通量は少なく、ずっと直線路が続く。

布部のあたりまで来ると、右前方には芦別岳らしい山塊がはっきり見える。

山部の近くまできて、振り返ると富良野の街が少し見下ろせるようになっていて、少しづつ上ってきたことに気づく。

道道706号線に到達し、左折して国道38号線にあるコンビニに向かう。というのも山部からかなやま湖までコンビニもスーパーもなく、食料品を補給できるのは、ここの国道38号線沿いにあるコンビニが最後だからだ。

14:22 国道38号線に復帰。セイコーマートで晩飯の弁当などを買う。ついでにアイスを買って休憩する。

これまでの自転車旅で、晩飯や朝飯などの食料品を買うところは、宿やキャンプ場に近い店で、買った食料品は小さいバッグに入れて背中に背負って運んでいた。

ところが、今回はかなやま湖までまだ20km以上も距離があるうえ、上り坂もあるので、背中に荷物を背負っては走りたくない。

そのことは旅前に想定していたので、リアキャリアに積んだリュックの上にそのバッグを置き、リュックに付いているベルトでバッグを留めて走ろうと考えた。そして、それができそうなことも確認してきた。

ここでそれを実践してみると、食料品を入れたバッグはしっかりリュックに固定され、落ちそうもないので、その態勢で走ることにする。

次に、ツーリングマップルではこのセイコーマートの南、空知川沿いに「金龍水」という名水の表示があるので、もしあれば、そこに行って水を補給しようと思う。

店を出て、「金龍水」の案内板がないか、気をつけながら走る。が、そんなものは見当たらないし、時間をかけて探すほどでもないので、そのまま通過する。

14:55 東大演習林PAに到着。トイレ休憩する。

東大演習林PAを出発し、少し走ると国道38号線国道237号線の分岐と、かなやま湖のキャンプ場を示す案内標識が現れる。キャンプ場まであと19kmだ。

分岐のある方向を見ると、ガードレールに寄りかかって立っているおじいさんがいる。

「こんな山の中の何もないところで何してるんだろう?、下金山から散歩してきたのか?」

などと思う。

この分岐で国道237号線へ右折し、しばらく行くと下金山の集落がある。

あとで調べると、ここにバス停があるので、多分バス待ちだったのだろう。

15:07 国道38号線国道237号線の分岐に到着。右折して国道237号線へ入る。

国道38号線と国道237号線の分岐
国道38号線国道237号線の分岐

しばらく走ると、下金山に入る。意外と言っては失礼だが、思っていたより大きな集落で、街と言ったほうがいいだろう。

街中で「作倶楽(さくら)」という農産物直売所の前を通る。ここは旅前に、かなやま湖のキャンプ場からできるだけ近い店を探している時にみつけたところ。

農産物の直売所なので、調理せずに食べられるものはトマトか果物ぐらいで、飯がわりになるものはないだろうと思い、山部のコンビニで食料品を調達することにしたのだ。

そんな事で、立ち寄ることはなく、通過する。

15:40 金山で道道465号線へ左折する。

山部から金山までの国道38号線国道237号線も十分な幅の路肩があり、走行に問題なし。

踏切への下り坂で、足立ナンバーの、あまり見たことのない車種(アメ車かも)の大きな車が、かなりのスピードで追い抜いていく。

空知川を渡ると、しばらく平坦な道が続く。JR根室線の高架下をくぐると、左カーブしながら上り始め、そしていよいよ前方にシェルターの入口が見えてくる。そのシェルターの入口が、何故かスゴく小さくみえる。

そのうえ、道路がシェルターの天井に向かっているようにみえるほど、入口からスゴい角度で上っている。

15:51 今日一番の難所「金山シェルター」に突入する。トンネルやシェルターはそもそも、路肩が狭いし、暗いので後続車が見え辛く、危険だ。自転車乗りにとっては一番の難所。

「金山シェルター」はそれに加え、旅前に調べていた通り、入口から勾配が10%ぐらいのかなりの急坂で、おまけにトラックも通るときている。

ただ、交通量は少なく、急坂のため、追い抜く車(特にトラック)のスピードもあまり速くないのが救いだ。

左膝の心配もあったが、無事に最初のシェルターを抜ける。

金山ダム

この周辺は寄り道ポイントがあるため、旅前に道を調べておいた。金山ダムに関する展示がある管理事務所へ行くには、1つ目のシェルターと2つ目のシェルターの間の分岐で右折する。金山ダムの展望台に行くには、2つ目のシェルターを抜けたところにある分岐で右折する。

調べていた通り、右への分岐道があり、右折して金山ダムの管理事務所に向かう。

下り坂を下りていくと、ダムの大きな堤体(水をせき止めている部分)が目に入る。

管理事務所は堤体の向こう側にあり、堤頂にある道路の通って行くことになるが、その道路は車1台が通れるほどの幅しかないので、車は片側交互通行。堤頂道路の前には、対向車の接近を知らせる電光表示もある。

自転車は特に制限がないようだし、対向車も来ていないので、そのまま堤頂道路を通り、管理事務所に向かう。

16:01 金山ダム管理事務所に到着。普通の管理事務所とは違い、湖側の建物がガラス張りになっていて、あそこが展示室のようにみえる。

金山ダムの管理事務所
金山ダムの管理事務所

さっそく中に入ろうするが、コロナのためか展示室は閉鎖されていて入れず。ダムカードの配布も中止されている。トイレを借りることもできない。

仕方がないので事務所の前から、ダム湖の写真を撮る。水量がかなり少なく、湖底の白い地面がむき出しになっている。夏はこんなものなのだろうか?

水量の少ないかなやま湖
水量の少ないかなやま湖

道道465号線側の、堤頂よりさらに高い山肌に柵が見える。あれが、この後行く予定の金山ダム展望台だろう。

管理事務所を出発して、その展望台に向かう。

道道465号線まで戻り、2つ目のシェルターに入る。この中も上り坂が続く。シェルターを抜けると、右側に入れる道があるが、案内板はないし、道も細いので一旦通り過ぎる。

すると、すぐに「展望台入口→」の案内板が現れるが、その先にある道もさっきの道と同じような細い道。

どちらの道も車1台がやっと通れる程の幅しかないので、案内板はどちらの道を指しているのかよくわからない。

そんなところに、キタキツネが一匹、ウロウロと現れる。キツネに「どっちだ?」と聴いてみるが、フェードアウト気味に道路脇の草むらに去っていく。

どっちの道でもいけるような気がするので、手前側の道から入っていく。すると、すぐに左から道路が合流するので、この道は案内板の先にあった道だろう。

そして、この2つの道は、それぞれ道道465号線の入口と出口になっていて、一方通行なっているのだろうと思う。ただ合流した道も車1台が通れるほどの道幅しかなく、擦れ違うことはできない。そんな道を上っていく。

16:16 金山ダム展望台に到着。

展望台は、金山ダムの管理事務所よりもさらに高いところにあり、ダム全体がよく見える。

金山ダムの堤体
金山ダムの堤体

展望台から見るかなやま湖
展望台から見るかなやま湖

右手の奥には、いつもは逆方向からみている夕張岳や三角形の1415m峰(ちょっとおこがましいように思うが、通称、夕張マッターホルンとも呼ばれているらしい)も見える。

夕張岳(左奥の山塊)と三角形の1415m峰(右)
夕張岳(左奥の山塊)と三角形の1415m峰(右)

なかなか眺めのいいところだが、自分以外は誰もいないし、雑草が生えていて少し荒れている印象。道道465号線から展望台への道も少し荒れていたので、訪れる人はあまりいないようだ。

これにて今日の立ち寄り先は終了。かなやま湖キャンプ場に向かう。

道道465号線に復帰すると、またキタキツネがウロウロしている。さっきのキツネが自分がいなくなったところで戻ってきていたのだろう。

しばらくカーブが連続する下り坂を下りる。金山ダム展望台の入口がピークだったようだ。交通量は少ないが、たまにトラックが通るので気をつけて走る。

坂を下りきり、しばらく走ると、後ろから列車が鉄橋を渡るような音が聞こえる。そういえば、JR根室線がこの辺でかなやま湖を渡るところだったはず。振り返っても、道路脇の木々で橋は見えない。

かなやま湖畔キャンプ場

16:46「かなやま湖畔キャンプ場」に到着。すでにたくさんのテントが張ってある。

受付で住所や名前など記入すると、管理人のおじさんに「札幌からだね」と言われる。使用料620円を払い、キャンプ場の説明を受ける。

管理人さん:「荷物は、駐車場からリヤカーで運んでくださいね」

自分   :「自転車なんですが」

管理人さん:「えっ、自転車?」

と、少しびっくりする管理人さん。

管理人さん:「自転車なら、そのまま自転車ごと入っていいよ。テントは、奥のバンガローの近くと水が引いて砂地が出ているところ以外ならどこでもいいよ」

自分   :「わかりました」

管理人さん:「ゴミはこの紙に書いてあるように分別して、このゴミ袋に入れて、(入口近くにある大きな箱を指差して)あそこのゴミ箱に入れてください」

と言い、南富良野町のゴミ分別方法が書いた紙と、6つもある分別用のゴミ袋をくれる。

こんなに一杯、ゴミ袋をくれるのに少し驚くが、無料でゴミを捨てられるのはありがたい。というより、このゴミ袋代もキャンプ場の利用料に入っているのだろうけど…

管理人さん:「テントにはこれを下げておいてね」

といい、利用許可証がわりの紙の札をくれる。

自分   :「お風呂はどこですか?」

管理人さん:「(指をさしながら)道路を挟んだあの黄色い『保養センター』という建物」

自分   :「何時までやってますか?」

管理人さん:「一応、夜9時までやっているけど、8時までには行ったほうがいい。そうしないと入れてもらえないかもしれない」

自分   :「わかりました。そうします」

自分   :「このテントに下げておく札、明日、出発するときは返却するんですか?」

管理人さん:「いや、しなくてもいいよ。投げておいて!」

「投げておいて!」。いやいや、久しぶりに聴いた懐かしい?言葉。

なんというか、自分も北海道出身にもかかわらず、管理人さんの北海道弁を聴いて、なぜだが少しおかしかった。長く、北海道を離れていたせいもあるのだろう。

今年は道内のキャンパーがほとんどだろうが、いつもの年なら道外の人も多いはず。そういうところで北海道弁を聞くとは思わなかった。

ちなみに「投げておいて」とは「捨てておいて」という意味。

テントサイトに入ると、家族連れやグループでいっぱいだ。事前に調べていた通り、かなり広いサイトではあるが、斜面も多いのでテントを張る場所を見つけるのに苦労する。斜面にテントを張っているソロの男性もいる。

結局、湖から少し離れた管理棟裏の芝生に張ることにする。少し離れたところに家族連れのテントが一つあり、連れてきた犬が吠えていることもあるが、うるさくはない。キャンプ場の入口近くにあるトイレと炊事場から少し遠いが、仕方ない。

テントを張っていると対岸を走る列車の音が聞こえる。結構、離れていると思うが、意外とよく聞こえる。

テントを張り終えたが、まだ明るいのでキャンプ場周辺を散策する。

テントを張った場所より下の湖側にトイレと炊事場があることを発見する。こっちのほうが全然近いのでここを使うことにする。炊事場も広いし、近くにテントがなく人が来ることもなさそうなので、洗濯もできそうだ。

キャンプ場の東側にある鹿の沢川のほうに行ってみる。川の周辺や川にかかる小さな橋はテレビで見たことがある。

鹿の沢川
鹿の沢川

川を渡り、湖の近くまで行ってみる。やはり、湖全体の水量がかなり少なくて、白い湖底がむき出しになっているところも多く、まるで干上がっているようにも見える。

干上がったようなかなやま湖
干上がったようなかなやま湖

遠くで、湖のギリギリまで歩いていく家族連れがいる。もう薄暗くなっているのに、テントサイトからかなり遠くまで行っているので、戻る頃には真っ暗になるのではないかと思う。

サイトの中に、少し木が生い茂っているところがあり、そこの木にハンモックを下げている一団がいる。

「いくら8月とはいえ、ここは内陸で標高も少し高いので、あそこで寝ると朝はかなり寒いと思うが…」

キャンプ場まで戻り、サイトの中をほぼ1周してテントに戻る。

テントに入ると靴下が異常に臭い。雨が降っていないにもかかわらず靴の中がかなり濡れている。

旅前に、靴のかかとの後ろ部分がかなり擦り減り、中の空洞が見えている状態だったので、ゴムを入れたり、ボンドで固めたりして、穴を埋めたつもりだった。

が、完全に塞がれてはおらず、芝生も濡れていたので、そこから水が入ってきたのだろう。

よくみると、靴の上の部分も隙間が空いていて、防水機能がなくなっているようにも見える。この靴にして失敗だったようだ。

2010年春の沖縄本島一周の苦い思い出が蘇る。あの時も、雨で濡れた靴から強烈な悪臭を放ってしまった。

とりあえず、靴下は脱ぎ、靴に虫除けスプレーをかけて気休め程度の消臭をする。

18:30 風呂に入りに「かなやま湖保養センター」へ歩いて向かう。

その途中、キャンプ場の向かいにテレビで見た覚えのあるお店を見つける。テレビでみたときは、もっと違うところにあると勝手に思い込んでいたので、キャンプ場の目の前にあるとは思わなかった。

あとで調べると「魚鬼(魚偏に鬼:イトウ)や」という食事処のようだ。

保養センターに到着し、入口にある券売機で入浴券を買う。入浴料410円也。

長めの廊下の先に浴室がある。キャンプ場に人が多いので混んでいないかと心配したが、中にいるのは数人ぐらいで空いている。

空いているのは、ここが温泉ではないからだろう。風呂場はあまり広くないし、露天風呂もないので、いたって普通の銭湯いったところ。

脱衣所を出たところにある休憩所に、映画「鉄道員(ぽっぽや)」出演陣のサインやロケ中の写真が展示されている。やはり「2人のけんさん(高倉健さんと志村けんさん)」のサインを見てしまう。ロケではこの近くのホテルに泊まったらしい。

19:30 テントに戻り、まずは洗濯。そして晩飯を食って、今日も21:00前には寝袋に入る。

明日の最低気温が11℃になっているので、長袖シャツを着て寝る。

走行時間:5h58m31s 走行距離:95.80km
平均速度:16.0km/h 最高速度:35.3km/h

== 旅の費用 ===========
キャンプ場(かなやま湖畔)代:¥620
入浴(保養センター)代   :¥410
飲食代           :¥996
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合計            :¥2,026
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